あまりに 綺麗だったから
さくら
「っくしゅん!」
不意にくしゃみをする。
不二は首を傾げた。
「花粉症?」
「んー・・・風邪かも」
は赤い鼻を手で隠す。
「熱は?」
席を立っての横に歩み寄り、おでこをくっつけた。
は恥ずかしそうに笑う。
「ないってば」
額を押し退けた。
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「さむ・・・」
人の居ない堤防。
夜に似合わぬ川のせせらぎ。
「まだ。だね」
吐く息が白い。
「」
「え」
振り返ると不二が居た。
「周助?」
暗闇が邪魔で、輪郭がはっきりしない。
「何してるの?」
「周助こそ」
不二が駆け寄って、に問う。
頬が寒さから赤らんでる。
「桜。見てたの」
にこっとして、桜の木を見上げた。
川沿いに植えられた木。
桜並木。
しかしまだ開花とはいえない。数輪が咲いているだけ。
「・・・まだ咲いてないよ?」
「ううん。毎日見てるの」
「毎日?」
「ん」
「どう、して・・・?」
春。身に染みる寒さ。
「小さい頃ね、友達と苗木を植えたの。なんだっけ・・・幼稚園の記念かなんかで」
まるで思い出を語るように桜を眺める。
「でもそのコ引っ越しちゃって。顔も覚えてないんだけどね」
名前もアルバムの中にしまったままの友達。
だけどこの木は、今でも特別。
「それで風邪引いたわけだ」
不二が苦笑する。
の手を掴んで引き寄せた。
すぽっと納まる肩。
抱きしめると冷たい体。
でも温かい身体。
「そのコの住所分かる?」
「へ・・・うん」
不思議そうに答えた。
「桜が咲いたら、写真送ってあげようよ。僕が撮ってあげる」
僕らの成長はほんの僅かに感じるけど、この桜はこんなにも大きくなったよ。
「来年も。再来年もずっと」
時が過ぎていく。
いつか大人になって、もう一度。
桜の木の下で会えたなら。
「ありがとう!!」
写真なんかじゃ納まりきれない記憶。
来年も。再来年もずっと。
キミの笑顔と 桜をアルバムに。
written by SoundKid